お母さんからのお便り

安松幼稚園の雰囲気が
よくおわかりいただけると思います

記事カテゴリ:幼保一体化について

平成22年10月
もし幼保一体化になっても
安松幼稚園の教育方針やスタイル
貫き通して頂きたいという思いでいっぱい
年少りす組 年長桃組 手束江美

いつもお世話になっております。
昨日、幼稚園・保育園一体化の事で電話させて頂きました。
保育園の待機児童を減らし、女性が働ける様になどと、幼保一体化。
一体化され、どういった内容になるのか説明されないままなのでしょうか?
(理事長注:全くその通りです。現時点では、具体的な内容も提示されないまま、幼児期の子供に対する教育についての考察が全くないままに、国は、待機児童解消・就労支援の観点そして経済効率の観点のみから幼保一体化の方向に突っ走っています)
幼稚園の先生と保育園の保育士さんとでは資格も違うと思うのですが、どうなるのでしょうか?
保育園でも色々な事を取り入れて教育されているところも沢山あると思います。
どちらも預ける側や預かる側にメリット・デメリットがあると思うので、一概にどちらが良いと言うつもりはありませんが、私が一番不安なのは、安松幼稚園のスタイルが失われないかという事です。
保育時間が長くなると先生方の負担も増す事でしょうし、保育園と変わらなくなるのではないか……という心配等です。
もし一体化になっても、安松幼稚園の教育方針やスタイルは貫き通して頂きたいという思いでいっぱいです。
もし署名活動があれば、お声をかけて頂きたく思います。(理事長注:本当にありがたいことです。)

 小さい頃から学ぶべき事がある、小さいうちだからこそ身につく事がある。
そう思い、自分が通っていた幼稚園という事もあり、安松幼稚園に決めました。
入園の相談でかけた電話越しに、園長先生のお声をお聞きして、懐かしさで胸がいっぱいになりました。
授業参観・運動会・生活発表会で涙し、興奮し、自分がなくしていた感情を子供に取り戻してもらった気がします。
安松幼稚園に入れてよかった!!
こんな素敵な幼稚園を守っていかなければと思います。

 私も学生時代、優秀な生徒ではありませんでしたが、子をもつ親になり、子供やその次の代までもの心配をするようになりました。
もっと日本の教育を何とかして欲しいと願うばかりです。
まだまだ先の話で、気が早いかもしれません。
こんなに熱くなって可笑しいかもしれませんが、いずれ下の子もお世話になりますので、先日電話させて頂きました。

話は変わりますが、先日の理事長先生の教育論、とても感激しました。そして論だけではなく、安松幼稚園では実践されています。(理事長注:授業参観後に、2回にわたって講演しました)
私は今の教育はおかしいと思います。
他国は学力向上を図る中、ゆとり教育を取り入れる日本
道徳の授業を軽視し、人として学ばなければならない事を教えない学校
主役ばかりの学芸会
順位をつけない運動会
人を殺しても、若いからという理由で守られる少年法
“君が代”を歌うなと言う愛国心のなさ
全てにおいて疑問です。
他国は、学校や地域社会などで愛国心を自然と身につけるのに、どうして日本は……と、不思議に思っていました。
資源がない日本は殆どの物を輸入に頼っている。
「日本人は優秀で、武士の心をもっている」と他国の人が言っているのに、現実は学力の低下、犯罪の増加……。
こんな世の中でいいのでしょうか……
私は子供達に、この国に生まれた事は幸せな事だとよく言っています。
ご飯を食べられる事や、きれいな水を飲める喜び、日本はとても恵まれているという事。
そうあってほしいという願いも込めて。
私達 親が大人がしっかり教えていかないと、どんどん子供がダメになっていく気がします……

また理事長先生のお話、お聞かせ頂きたく思います。
お忙しい中、手紙ご覧になって頂けて光栄です。
ありがとうございます。   かしこ

理事長注:
篤い想いをありがとうございました。
現時点においては、具体的な内容を提示しないまま、幼児期の子供の望ましい環境・教育についての考察が全くないままに、国は、大人の都合からの待機児童解消・就労支援の観点そして経済効率の観点から幼保一体化の方向に突っ走っています。

 お手紙は、次の2点に触れられていたと思います。

(1)

幼保一体化で、安松幼稚園の現在の教育のレベルを保てるのでしょうか?
是非、今の安松幼稚園の教育を続けてほしい。

(2)

小さいうちだからこそ学ぶべき事があり身につく事がある。
私達親や大人は、しっかりと日本の良さも含め、人としての有り様を子供達に伝えていきたい。


(1)まず幼保一体化について
 全体像がまだ見えていないので何とも言えませんが、国がどのレベルの法(規則)を施行し、府・市の柔軟な対応がどれだけ可能であるかにかかっていると思われます。
 しかし現時点における、国の「子ども子育て新システム」の内容は、
・すべての子どもへの良質な成育環境の保障
・出産、子育て、就労の希望が叶う社会
・仕事と家庭の両立支援で、女性の就業促進で活力ある社会
・住民の多様なニーズに応えるサービスの実現 の方向のみを向いています。

つまり“子供を多様な形態で預かる”に関する記述ばかりで、教育への言及が全くといっていいほどありません。
幼稚園が学校教育法第1章総則の第1条において、「この法律で、学校とは、幼稚園・小学校・中学校……とする」とあるように、幼稚園が学校であり教育機関であるという観点が完全に無視されています。
社会の構造の変化から、多様な預かり形態が必要なのは理解できますが、それと共に、良質な幼児教育の重要性もそれに劣らず大切だと考えます。これらが両立できるシステムを考えなければなりません。待機児童解消と幼保一体化は別の種類の問題です。
安松幼稚園が大切にしているものに、次の2点があります。
放課後の毎日のミーティング(職員会議)

  

 すべての先生が参加し、個々の園児の情報交換・明日の教材の組み立て(この場合は学年に分かれる)・中長期の教育課程についての研究 等について、毎日2時間前後もたれています。そういうことを通して、すべての先生でもって個々一人一人の子供を見守るきめ細かな教育が可能となります。
もちろん時には失敗もし反省もしながらの毎日ですが、そこでの率直な話し合いを通して、先生として人としての在り様についても大きな背骨が育っていきます。

年に20回を超える研究授業と風通しのよい反省会

  

 年に20回を超える研究授業と風通しの良い反省会は、先生の力量を高めるに大きな役割を果たしています。
(H.P. 平成20年度学校評価:園児の情報交換 & 先生の研修 参照)

以上の様に、園児が帰ってからの毎日のミーティングと年間を通じての研究授業が、先生の質と子供の発達段階にあった教育内容の設定に大きな役割を果たし、保護者の方からも圧倒的な支持を受けています。
(H.P. 平成21年度学校評価:全家庭によるアンケート参照)
幼保一体化で、長時間の預かりや多様な形態の預かりを義務づけられた場合、上記のような全員の先生による毎日の情報交換や研修の時間を確保できるのか、出来なければ教育の現在の質を保つ事が出来ない等々につき、日本から幼児期の教育が消え去るのではないかという危惧を抱いています。


(2)第2点について
 手束さんの仰る通りです。ここではコメントを略しますが、お母さんからのお便り
H.P. H22.7 教育そのものについて考える「教育は型・基本が大切」をご覧下さい。
尚、もっと詳しくは、H.P. H22.11 理事長エッセイ「幼保一体化について」をご覧下さい。