理事長エッセイ

先生の熱意と指導力が安松幼稚園の誇り

平成28年8月1日
年少学年主任 うさぎ組担任 川口智子
家 庭 の 太 陽
――森信三先生「家庭教育の聖典」――

 今年6月に行われた「国家の品格」の著者・藤原正彦先生の京都での講演会にお呼び頂き、非常に感銘を受けました。日本人としての誇り、そして幼児教育の大切さを改めて感じました。
 その中で、国民教育の師父といわれた森信三先生が提唱された ①躾の三か条 ②立腰教育 を紹介されており、是非とも子供達に実践してみたいと考えました。

 ①家庭教育の根本は実に「躾」であり、これが人間教育のスタートである。
その根本的な躾とは、


(1)朝、必ず親にあいさつする子にすること
(2)親に呼ばれたら必ず、「ハイ」とはっきり返事の出来る子にすること
(3)履き物を脱いだら必ずそろえる子にすること


この三つの躾が徹底されると、何故人間としての軌道に乗せられるかというと、(1)と(2)で「我」がとれるからである。つまり「あいさつ」と「返事」で一応人間としての「我」を抜く。これが秘訣なのだ。この二つの躾が徹底すると、いつの間にやら素直になり親の言うことを聞くようになるのである。
 ②立腰(腰骨を立てる)は性根を入れる極秘法であり、心と身体は表裏一体。「心を立てようと思えばまず身を起こす(心身相即)」ということだ。何事も素直に吸収し、自らの力に変えることのできる幼児期に身につければ、それは一生の宝となる。

(森信三先生著書から引用)







 うさぎ組の約束として、躾の三か条を具体的に取り上げ、子供達に日々話をしました。立腰教育と並行し、約三週間。入園当初は「~しましょう」とお話ししても返事がなかったり、「なんで?」「何でしないといけないの?」と聞き返していた子供達が、今では目を爛々と輝かせ「ハイ!」と返事をし、活き活きと素早く行動しています。あるお母さんは「いつからこんなにハキハキと挨拶できるようになったのでしょう。」またあるお母さんからは「家で自ら靴を揃えるようになって、親の私が注意されます。」という話も(笑)。うさぎ組の子供達が立ち止まり自ら先生達に挨拶している姿を見ると、涙が出ます。
 先日私の研究授業があり、全ての先生が参観に来られました。クラスの雰囲気を見て、ある先生が「うさぎ組のお部屋が一つの家庭に見えました。」とお話ししてくれました。涙が溢れました。幼稚園の母としてこれほど嬉しいことはありません。
 「母親は家庭の太陽であれ」
森信三先生のこの言葉を胸に、太陽のようにうさぎ組みんなの心を温め、育んでいけるようこれからも見守っていきたいと思います。

理事長注:
 上述の①躾の三か条 ②立腰教育は、明らかに、うさぎ組の子供達に大きな変化をもたらしました。その効果の絶大なるを見て、川口先生に啓発されて、園全体で取り組んでいきたい。また家庭においても、ぜひ実践してほしいと願っています。子供の「我」を取るということは、何ものにもまして重要なことと思います。
それは、素直さの上に 大いなる学びが始まるからです。
森信三先生の教えは、「極めて平易にして具体的であり、実践の着手点を明示して下さっており、言うなれば家庭教育の聖典」と言っても過言ではありません。
将来にわたって実践されれば、子供は人として大きく育つことを確信します。