理事長エッセイ

先生の熱意と指導力が安松幼稚園の誇り

平成29年1月1日
理事長 安井俊明
日 本 の 国 柄
―― 誇るべき日本の文化 ――

明けまして おめでとうございます。
本年が、皆様にとって、心豊かな年になりますよう念じています。
また日本の子供たちの健やかな成長と共に、日本人としての誇りと自信を取り戻し、日本国の立ち直りを、心から願っています。

 私は、日本の国柄、日本の文化・歴史の素晴らしさ、人としての有りように、大いなる誇りを持っています。
新年に当たり、「国家の品格」を著された藤原正彦先生の講演の一部を抜粋し、皆さんに紹介したく思います。(注:【実践人】京都研修会によって要約されている 藤原正彦『天才を生む土壌と国家の品格』2005年9月15日(東京會館)から引用)

見    識

藤原正彦

日本文学

 

日本文学の素晴らしさというものを説明します。
 今、英文学というものが幅を利かしていますね。しかし5世紀から15世紀、もっと言えば、有史以来、西暦1,500年位までのイギリス文学を三つ挙げられる人は、余程の人以外はいないと思う。
 しかし、日本は5世紀から15世紀迄の間に、既に素晴らしい文学を沢山生んできた。これは偏見かもしれませんが、5世紀から15世紀迄の間に、全ヨーロッパの生んだ文学を凌ぐだけの文学を日本一国が生んできた、と言ってよいと私は思う。
・壮大な古代天皇家を中心とした物語である『古事記』に始まり『万葉集』や『古今和歌集』などの詩歌集
・『今昔物語』などの説話文学
・平安王朝のきらびやかな世界を背景とした一大ロマン『源氏物語』
・源平合戦を背景とした壮大な歴史物語である『平家物語』
・また南北朝の争乱を描く『太平記』
・さらに文学は能や謡曲の世界へと広がりを見せ、世阿弥の『風姿花伝』
なども生む。
 中世までの文学を考えても、その量と質に於いて、イギリスなどヨーロッパの国々を遥かに凌駕している。
 日本の文学は、それ程、素晴らしいものなのです。


ポール・クローデル



 

大正末期から昭和の初め迄フランスの駐日大使をやっていたポール・クローデルという人は、昭和18年に日本が敗戦濃厚となった時、パリでこのように言いました。
「私がその滅亡するのをどうしても欲しない一つの民族がある。それは日本人だ。これほど 興味ある 太古からの文明をもっている民族を私は他に知らない。彼らは貧乏だが、しかし 彼らは高貴だ。世界の民族で一つ、どうしても残ってほしいと思う民族を挙げるとしたら、日本人だ
 すなわち、大正末期から昭和の初め頃迄の日本は、まだ国家の品格というものがあったのです。その後、どんどん軍国主義に傾き、品格をなくしていった。今こそ我々は、品格を取り戻さなければいけない。そして、この品格の中枢に、文学そして読書があることを忘れてはならないのです。
(藤原正彦先生の講演からの引用終わり なお一部は 司馬遼太郎氏とドナルド・キーン氏の対談「日本人と日本文化」から引用しています。)

 また現在の駐日サンマリノ大使であるマンリオ・カデロ氏は、「初めて日本に来たとき、『なんとステキな国が地上に残っていたのだろう』と、神様に感謝する気持ちになった」と著書に記されています。
 上記のように、私は、日本の文化は世界に誇り得るものだと思っています。
そして「一国の文化は、その国の国語に帰着する」という真理から、安松幼稚園では、国語教育を大切にしているということを、申し添えたく思います。