理事長エッセイ

先生の熱意と指導力が安松幼稚園の誇り

平成22年7月
理事長 安井俊明
先生の熱い心が子供に伝わって
―― 教育とは子供の心を震わせ豊かな感性と
やる気を引き出すこと ――

 安松幼稚園の子供達は、「遊ぶ時は遊ぶ。やる時はやる」というメリハリを身につけています。そして情操豊かで周りにも心優しく、そして非常に積極的で何事にもやる気満々です。これら豊かな感受性と頑張るぞという積極性は、どこから生まれてくるのでしょうか?
先ずは、お母さんからのお便りを2点紹介しましょう。

●6月の園内お楽しみ音楽会の後、年中に入園3カ月のお母さん (お母さんコーラス所属) から頂いたお便りです。


引き出された子供の溢れんばかりの感性と 
先生方の熱意ある指導に涙

年中ゆり組 高山弘美

 いつもお世話になりありがとうございます。
先日の音楽会は本当に素晴らしく感動しました。
そして、どうしても先生方にお伝えしたい事があり、お手紙を書くことにしました。
 安松幼稚園の音楽会は、私達親子にとって初めての音楽会でとても楽しみにしていました。
安松幼稚園に入るまでは、家ではあまり歌ったりすることは少なかった息子ですが、音楽会の練習を始めてからは、毎日とても楽しそうに歌って聞かせてくれていました。
手の表現も私は初めて見まして、前の幼稚園ではなかったことなので、一体なぜ手を動かしてるんだろうと思っていましたが、本番を見てその意味が大切さがよくわかりました。(理事長注:脱力してのどを楽にし、伸びる綺麗な声を出すためです)本当に一生懸命に先生の指揮を見て追って真剣に歌う子供達の姿に涙が溢れました。
先生方の熱意ある指揮にも感動しました。心より感謝申し上げます。

 息子は、音楽会が終わった今も毎日よく歌っています。その中の出来事なのですが、主人とともに涙したことがありました。
 息子はよく「年長さんの声はすごくきれいやねん」と言っています。
特に『やさしさに包まれたなら』が好きなようなので、CDを聞かせてみました。すると息子は、「これ、違う……」と言いました。(以下、私達の会話です)

「何が違うの?」

「声も違うけど……年長さんが歌ってるやつ聞く方がいい」

「どうして?」

「年長さんの、きれいやねん。とくにな、あの『カーテンを開いて……目に映るすべてのことはメッセージ』が好きや。あれ聞くと、涙出てくるん。なんかなぁ、勝手にぶわーって出てくるん」

「どんな気持ちなの?」

「……きもちよくて……あったかくてなぁ……やさしい気持ち。
いつも練習で聞いてて、幼稚園で泣いてしまったん、恥ずかしいから かくしたけどな」


 息子の言葉に夫婦で驚き、涙がこぼれました。
まだ“感動”という言葉を知らないのでこのような表現になっていますが、息子の気持ちは十分に伝わりました。息子も、私と同じように、大人と同じように、歌を聴いて感動していたのですね。
このような事は初めてです。
歌うということだけでなく、このような素晴らしい体験をさせて頂いたこと、本当に嬉しく感謝致します。
そして息子は、「僕も年長さんになったら、あんなに歌えるようになりたいなぁ。」と、言いました。
もうなんだか……息子の成長に夫婦で涙です。

年中から入園(理事長注:忠岡町の幼稚園から転入)させて頂き、まだ3ヶ月ですが、この3ヶ月で息子が学び成長したことは、とても大きく大切なことだと思いました。
これも先生方の日々の熱意と誠意ある指導のおかげだと思っています。
しつこいくらいですが……本当に心より感謝申し上げます。
これからもよろしくお願い致します。(引用終わり)


入園して僅か3カ月、このような豊かな感性が引き出されました。子供達は元来このような感性・能力を潜在的に持ってはいますが、何かの出会いがなければ表には出てこないのです。
「先生の真剣な熱い気持ちからの指導」と「1年先輩の年長さんの綺麗な歌声」がきっかけとなって、高山さんの感性が見事に引き出され、それと共に、僕も年長になったらあんな風に歌いたいなぁというやる気・積極性も引き出されました。
 この豊かな感性を非常に大切な事と受け止められたご家庭にも敬意を表します。
先生のもっとも大きな仕事は、子供の本来持っているこのような感性・情操を引き出し、やる気を育てることにあります。私も、このお便りには、読む度に涙が溢れました。

●次は年長のお母さんからのお便りです


安松幼稚園の子供達の不思議

年長桃組 大西幸枝

 年長になり、益々しっかりして来て、嬉しい限りです。
春休みには、公園にマラソンに行こうと自分から言い出してきたので、驚きました。
 大人からすれば、しんどく辛いだけなのに…と思ってしまうのですが、本当に不思議ですが、安松幼稚園の子供達は、年長しかできない公園でのマラソンや泉の森ホールの歌などを、一切しんどいと思わず、楽しみにして、それをやり遂げる事を喜びにしている様子を、親としてとても嬉しく思います。
 こんな気持ちを持てるのは、先生方の日頃の努力・指導のお陰だと思います。
年長は行事がいっぱいですので、一つ一つが本当に楽しみです。
これからも宜しくお願い致します。(引用終わり)


 

安松幼稚園では、日常の園生活において多くの会話が飛び交い、お母さんからも多くのお便りを頂きます。
例えば行事において、音楽会前には家でもたくさん歌っているとのことですし、運動会や発表会の前には、家でも鼓隊やお遊戯の振り付け・劇のセリフの自主練を本当に頑張っているとの話を多く聞きます。また縄跳びの練習など、多くの子供が家で自主練をしているとのことです。
真剣で、一生懸命なひたむきな心が育っているのです。
まるで、近畿大会や全国大会への出場をかけた公式戦に臨む部活動中の高校生の様です。
 このような積極性・やる気、また前述の情感豊かな感性は、先生の子供に対する熱い心と真剣な触れ合いの中から生まれます。
子供は先生の一生懸命な心を感じて、それに応えようと一生懸命に返してくる。心と心のぶつかり合い
なのです。これこそ安松幼稚園の園児の豊かな感受性と頑張るぞという積極性の源泉です。
 園長先生はよく、「だらだらするならしない方がよい。だらだらが許されるという悪い習慣が身についてしまう。やる時は一生懸命に真剣にすることが大切」と言われます。
 先生の一生懸命な熱い心を感じ、自分の事を心から願い指導してくれる先生に対して子供は心を開き、この人の言う事を聞いておけば間違いない、信じてついて行くことが出来るという皮膚を通しての信頼関係、これこそが安松幼稚園児の“豊かな感受性”と“何事にも挑戦するというやる気”の源なのです。
最後に、そのことは家庭教育においても通じることを指摘し、稿を終わりと致します。

(安松幼稚園新聞59号より抜粋)



尚、このエッセイは、前回のエッセイ 平成22年3月
教育の真髄は「子供に教える」のではなく「子供から引き出す」ことにある
―― 世間でいうゆとり教育など糞喰らえ ――

の続編です。
続けてお読みいただくと、とてもありがたいです。

お母さんからのお便りの
平成22.6.25
園内お楽しみ音楽会
・歌があんまりにもキレイなので涙が出た
  等も併せてご覧下さい。